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  • ジャスミン

山の学校レストラン 菜膳


今回取材をさせていただいたのは

山の学校レストラン 菜膳

平成22年3月に廃校となった向山北小学校をそのわずか3年後の平成25年に

完全予約制のレストランとして復活させました。

言わずと知れた高千穂の隠れ家的レストラン「菜膳」です。

時は遡ること平成24年の秋・・・

廃校から2年が経った時、学校の近くには野菜の廃棄場がありました。

そこに集荷場で規格外となったものは捨てられていたのです。

ある日、近くを通りかかったおばあさんが大量のトマトが捨てられているのを見て

涙を流したそうです。

その方の涙に共感を覚え校舎を利用して何かできないかと考え、

思いついたのが漬物作り!!

それが全ての始まりだったのです。

こうして、坂本佐代美さんを中心として校舎内給食室にて規格外商品の漬物加工が始まりました。

ある日、坂本さんのご主人がその小学校の校庭の草刈りをしているときに、「こんな景色の良いところがあるっちゃからレストランをしてみらんか?」とおっしゃったそうです。

景色が良いのはわかるけど・・・こんな僻地にお客さん来てくれるだろうか・・・

正直不安でした。

しかし、話はトントンと進み、、、

漬物加工を始めた翌年の平成25年3月9日に山の学校レストラン菜膳がオープン!!

ただ、人手や食材、そしてキッチンスペースも限られているので「完全予約制」を条件に営業をスタートさせました。

そして予約の入っていない日や時間帯は継続して、加工品の製造を行うこととしました。

はじめは個人客が一組二組とやってきて

その噂を聞きつけ、県外(九州内)のお客様が徐々に増えていったそうです。

そして九州外からも、大型バスを貸し切った団体客も・・・!

さらには珍しい立地や日本ならではのメニューが外国人旅行客の心を掴み、大人気となりました。

特に、宣伝や情報発信をしていないのにも関わらず、どんどん今でも口コミで広まっているそうです。

 

Qお客様の口コミや、感想で特に印象的だったことなどありますか?

 

(坂本さん)

ある外国人旅行客の方がおしゃったのですが、『これまで日本料理は京料理だけだと思っていた。でも、京都のお店は仕入先があるのに対し、ここ(菜膳)は自分たちで食材を山や野に収穫しに行く。これが本当の日本料理なのではないか?』これを聞いたときに、なるほどなぁ〜そういう見方というか価値があるんだなぁ〜と改めて気づきました。

【カボチャの花を採るスタッフ】

 

Q特に珍しいと言われるメニューは何ですか?

 

(坂本さん)

「あくまきのアラレ揚げ」ですかね〜

あくまきは通常きな粉をつけて食べるのが一般的ですがアラレをまぶしてみたんです。

そしたらこれが美味しくて!最初はまかないで出してたんですが、好評だったのでメニュー化しました。

特に、あくまきが有名な鹿児島の方から喜ばれており、その後も何度もご来店いただいております。

 

Qそういった料理のアイデアって結構浮かんでくるものなのですか〜?

 

(坂本さん)

実は、私アイデアマンでして、、、笑

調子が良い時は料理の神様が降りてくるんです!笑

今はネットでいつでもなんでも調べられますから

深夜まで夢中になって見だしたら止まらないですよね〜

ただ、良いアイデアと出会っても、ここでできるものは限られているので(キャパや人手の関係で)

どうにかしてできないか試行錯誤の日々です・・・

 

Qオープン当初から変わらない菜膳の価値や思いはありますか?

 

(坂本さん)

料理に関しては「季節のものを取ってくる、必要な時に必要な分だけ」

このスタンスはずっと変らないですね。その分ロスも抑えられています。

これは完全予約制だからこそできることだと思っていまして、菜膳の強みでもあります。

あとは「食」に対する思いですね。

生きることは、食べること。これって昔から変らないものですよね。

普段は何気なく食べていると思うのですが、ここで昔ながらの山菜料理などに触れることで

「昔の食のシステムがあったからこそ今がある」ということを感じる機会になれば嬉しいです。

【野草を採るスタッフ】

 

Q坂本さん自身、なぜそれほどまでに「食」に対して考えるようになったのでしょうか。

 

(坂本さん)

実は私、漁師町の出身で、海育ちなんですよ。

高千穂に嫁いだ時は、同じ宮崎県内でも

住む環境が違えば食文化がこんなにも違うんだなぁと驚きの日々でした。

例えば「神楽うどん」

夜神楽の際に最初にお客様に振る舞うものですが、なぜ最初なのかわかりますか?

それは、まずはお客様に体を温めてもらうためです。

このように昔の人の考えたメニューにもちゃんと意味が込められているのです。

しかし、ほしゃどん(神楽を舞う人)の後継者不足で夜神楽がなくなった集落も

少なくありません。その集落では、神楽うどんを振る舞う機会も無くなりました。

同時に、先代から受け継がれている「食」への思いも途絶えてしまうことになります。

それは、いけないな。なんとかしたい!だから自分が伝えなければ!

と思っています。

 

Qこれからの高千穂町の「食」や「農業」に関して、思うことはありますか?

 

(坂本さん)

いかにして、今居る人たちが潤うかが大事だと思います。

農家の高齢化でA級品を作ることが難しくなってきています。

ですので、これからは加工品ありきの農業で、規格外商品をどんどん活かして

お客様から喜ばれるものを提供できると良いですね。

【取材時に届いた五ヶ瀬産イチゴ(加工されてジャムになります)】

また、それによって経営が安定し、農家さんの心身の負担も軽くなるでしょう。

そんな風に農業で稼いでいるおじいちゃんおばあちゃんを見たら若い世代も

農業に魅力を感じてくれるのではないでしょうか。

今居る人たちの生活や仕事を充実させることがこれからの未来に繋がっているのだと信じて今後も高千穂で「食」と向き合っていこうと思います。

山の学校レストラン 菜膳

廃校になった学校を利用した「山の恵みを頂く」レストラン。

メニューは「季節の日替わり膳」のみ。

季節の移り変わりで、お料理の内容も変わります。

住所:高千穂町向山1232(旧向山北小学校)

TEL:080-5200-1831

11:00~14:00 完全予約制・不定休

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