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  • キョクチョー

突撃!隣の水道水(1)


梅雨が始まった日本列島。 「傘を差すのが面倒」「洗濯物が乾かない」「なんだか憂鬱」など 全国的に様々な文句を言われている雨だが そうは言っても雨が降らなけりゃ飲める水がなくなり 飲める水がなけりゃ人間生きてはいけないのである。 幸い日本は、食事処に入って席に着けばタダで水が出てくる恵まれた国である。 幼いころ、夕食前に腹減ったと騒ぐと母親から「水でも飲んどきな!」と言われなかっただろうか。 それくらい水の存在は当たり前であり、子どもにいたっては「えぇ~水~!?」という扱いである。 子ども達よ。そんなことではいかんぞ。 水が合うかどうかは、人生の幸福度とお腹の健康にかかわる重要な問題なのだ。 だから高千穂キャラバンは真剣に向き合ってみた。 高千穂の水と。特に水道水と。

五ヶ瀬川上流クオリティ

高千穂町は日向灘に注ぐ第1級河川・五ヶ瀬川の上流域にあり、 同河川に流れ込む支流が何本も流れる川の町でもある。 当然、水源も相当数あるので、普段から比較的湧きたての初々しい水を飲むことができる。

支流のひとつである上野川の上流にある竜ヶ岩の滝。うーん絶景。 工業都市出身の私などは、水道から出た水そのままでも、十分においしいと感じる。 飲みかた(高千穂弁で飲み会のこと)から帰った時なんか特に。 そういえば、この水はどこから来ているのだろうか? 酔っぱらって散々お世話になっているにもかかわらず、 どこのどなたかも存じ上げないというのは、失礼極まりない。 是非お調べして、お礼を言いに行かねばなるまい。 そう思った私は、さっそく立ち上がった。 レッツ!キャラバ~ン!(移動するときの効果音だと思ってください)

水道のことならここで間違いないだろうと、向かったのは役場上下水道課。 だって「水道」って書いてあるもの。 ずかずかと乗り込むなり聞く。 「水道の水ってどこから来てるんですか?」 すると逆に聞き返された。 「水道ってどれね、上水道?」 なんですと?

「カンスイ」という謎

「どれ」なんていうことがあるのか、水道は水道じゃないのか。 そう言おうとしたとき、ハタと思い至ることがあった。 町内のお宅にお邪魔した際に見た、あの光景。 台所のシンクに並ぶ、二つの蛇口を。

私が知る限り、ほとんどの場合1シンク1蛇口制だったが… 「なんで蛇口が二つあるんですか?」 「うちへんは『カンスイ』を引いちょるからね~」 お世話になったお母さんとの会話も思い出した。 その時はよく分からなかった「カンスイ」という言葉が雷のように閃き 水道課職員の言葉と重なる。 「水道っち言っても、上水道とか簡易水道とか、色々あるきね。」 簡 易 水 道 ! それだー! 「カンスイ」って簡易水道の略だったのかー! なんてこった。「水道は水道」なんて簡単なもんじゃなかった。 完全に想定外である。水道の仕組みから学ばなくてはならない。 そのためにはまず、未知の制度「簡易水道」を攻略する必要がありそうだ。 こうなったら上下水道課のカンスイマスター・竜也係長に聞くしかない!

「なんかいい資料ください!」 「はい、どうぞ。」 急な申し出にも即対応。ありがたいかぎりである。 ただ、こちらからお願いしておいて文句言うなんてどうかしているが、 この資料、分厚いし重い…。

厚さ約12cm。

めっちゃラベルついてる。 それもそのはず、高千穂町内の簡易水道と呼ばれるものは26施設、 さらに小さな水道施設も合わせると47施設以上もあるそうなのだ。 宮崎県の市町村の中で最も多いらしい。

そもそもの話:水道のしくみ

この資料を読み解く前に、そもそも水道とはどんな仕組みになっているのか。 簡単にまとめてみよう。 この仕組みは高千穂町に限ったことではなくて、 水道法という法律に基づいた国の基準によって定められている。 <水道法 第3条> 1.この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、  水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。  ただし、臨時に施設されたものを除く。 2.この法律において「水道事業」とは、一般の需要に応じて、  水道により水を供給する事業をいう。  ただし、給水人口が百人以下である水道によるものを除く。 3.この法律において「簡易水道事業」とは、給水人口が五千人以下である水道により、  水を供給する水道事業をいう。 あばばばば。 なぜか法律というだけで難しいことが書いてあるような気になってくるが頑張ろう。 要は水を供給している施設が何人の人に水を配っているかがミソらしい。

「水道」の中で100人以上に配っていれば、「水道事業」。 「水道事業」の中でも、100~5,000人の範囲で配っていれば「簡易水道事業」。 法律上では供給人数による区分はこの2つしか明記されていないので 5,000人以上に配っている水道に名前はついていないけど 一般的には「上水道」と呼ばれているということ。 多分、名前がないといろいろ不便だったのだろう。 この区分でいえば、高千穂町には 上水道の施設が1個、簡易水道の施設が26個 あるということなのである。 以上を踏まえると、私が酔っぱらって帰った時にお世話になっている水は 私の家が簡易水道を引いていない以上、上水道の水ということになる。 それがどこから来ているのか。 聞いてみると、主には高千穂峡周辺にある「御塩井水源」からきているとのことだった。

あの高千穂峡ですよ! 何やらそう聞くと、さらにありがたい水に思えてくるから不思議である。 さあ、そこまで調べてふと思う。 町内の上水道は同じところから配られているので どこから汲んでも味は同じなのだろうが簡易水道はどうなんだろうか。 水源も施設も別々なのだから、水の味は集落それぞれに違うのじゃないか。 そう思ったら、確かめずにはいられないのが高千穂キャラバン。 そうだ、飲み比べをするんだ!

ペットボトルを握りしめ決意する。

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