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  • キョクチョー

茶を嗜む(1)


皆さんは知っているだろうか。 「夏も近づく八十八夜」のフレーズで 有名なあの歌のタイトルは「茶摘み」であることを。 「夏も近づく八十八夜」とは 立春から数えて八十八夜目のことでつまり今年は5月2日であったことを。 「夏も近づく八十八夜」の後には 妙に高いテンションで「ハイハイ!」と合いの手を入れたくなる人間がいることを。 知っていても知らなくても、問題はない。特に3番目はどうでもいい。 そんなこんなで、高千穂キャラバン第2回特集記事のテーマは「お茶」なのである。

あれに見えるは茶摘みじゃないか

うらうらとした陽気に誘われて、春の高千穂をそぞろ歩けば どこかで目にする光景。茶摘みである。 昼夜の気温差が大きく、よく霧が発生する高千穂町は、 良質の茶葉が採れる、茶の一大産地なのである。

赤シャツのおじさんが刈った茶葉を紺ベストのおじさんが受け止めるの図

私は考えた。 そんなすごいところに住んでいるのだから、 ちょっとお茶に詳しくなって お見合いの時に「ご趣味は?」「お茶を少々…」なんていう おしとやかな会話ができるようになっておいたら、将来役立つのじゃないかしら、と。 「趣味:お茶」か…。悪くないな…。 そうと決まれば話は早い。調べよう! Let's キャラバ~ン!(移動するときの効果音だと思ってください)

お茶について「ざっくりなんとなく知りたい」という 社会人としてあるまじき要求に答えてくれそうなところといえば やっぱり役場・農林振興課だろう。 しかもここには、Mr.グリーンティーの異名をとる 高千穂町役場・茶業の雄、晶彦課長補佐が在籍しているのだ。

にいさん!オネガイシャス!

突然押しかけて、突然頭を下げるキャラバンスタッフ。 むむ、いかに仏のような晶彦さんでも 「なんかいい感じのお茶の資料ないですか?」はまずかったか? 一瞬ヒヤッとしたが、「いいのがあるよ」と快く資料を提供してくださった。

晶彦 「まあこれ、小学生用なんだけどね」 わたし「えっ」 これで私も茶業の雌と呼ばれる存在に…と、ほくそ笑んでいたら 初心者用の資料だと釘を刺された。

ほんとだ…。 仕方がない。まずはこれで小手調べといこう。 これしきの資料、3分間でやっつけてくれるわ。

すごいぞ小学校高学年用!

意気込んで読み進めること5分。 すでに宣言した時間は過ぎているし、まだ4ページ目である。 なんてこった。この資料、ちゃんとしてる。 だってまず 、学習のねらいの項がちゃんとしてる。 「日本茶とはどんなものを指すのか、定義を知ることで、 普段の生活の中で触れるお茶に対する関心を持たせる」 なるほど。日本茶の定義ときたか。 シンプルにこう書いてあった。 【日本茶の定義】  日本独自の作り方で、お茶の葉を原料として作られたお茶 つまり、定義として重要なのは「日本独自の作り方」と「原料がお茶の葉」の2点。 日本で栽培・製造されていても紅茶は舶来の製法なので日本茶ではないし 日本でおなじみのお茶でも麦茶はお茶の葉を使っていないので日本茶じゃないのである。 へぇ~。

日本の夏。むぎ茶の夏。 でも厳密にはnot日本茶。 では、「日本独自の作り方」とはどういうものなのかという疑問が当然湧く。 それにもちゃんと答えてくれている。 【日本茶(煎茶)の作り方】 (1) 摘採(てきさい) (2) 蒸熱(じょうねつ) (3) 粗揉(そじゅう) (4) 揉捻(じゅうねん) (5) 中揉(ちゅうじゅう) (6) 精揉(せいじゅう) (7) 乾燥(かんそう) (8) 選別(せんべつ) (9) 火入れ(ひいれ) (10) 包装(ほうそう) おいおい、4回も「揉む」って字があるぜ!と喜んだ人。 お茶なら合法的に揉めるらしいっすよ。 えーい、しかし漢字が多いなあ! もうちょっと噛み砕いで簡単に言うと、こういうことのようだ。

明らかに工程(3)の気合の入り方が違うのがわかるだろう。 生の植物にはたくさんの水分が含まれているが 茶に変身させるにはそれを徹底的に抜いてしまう必要がある。 外側から熱を加えるだけでは、なかなか出てこない細胞レベルの水分を 揉んで揉んで揉みまくることにより絞り出していく。 茶の味・香りを作り出す重要な工程なのである。 揉むって大事。 また、高千穂茶にとっては工程(2)も特筆すべき作業となる。 「蒸熱」とある通り、一般的な煎茶では、蒸して熱を加えるのだが、 高千穂ではこれを窯で炒ることにより行う。 つまり、釜炒り茶である。 よく名前は聞いていたが、結構、早めの段階で釜炒られているのだと知る。 (ここでいう発酵とは、酸化発酵のことで、 熱を加えて発酵を行う酵素の働きを抑えないと、酸化が進んで茶葉は茶色になっていく。 緑茶の緑は酸化発酵を止めたために保たれているのである。 学生諸君、科学のテストに出るかもしれないぞ。 ちなみに発酵を止めないで作られるのがウーロン茶などの茶色いお茶なのだが これを調べだすとホームページがもう一個できてしまうので割愛する。)

茶園のガンダム現る

さあ勉強はここまで。本で調べたら、実際行って確認すべし。 これが高千穂キャラバンの掟その1である。 事務局から茶園へ向けて、弾丸のように飛び出した。 訪ねたのは下野地区にある甲斐製茶園さんである。

もはや取材など放り出したくなるほど綺麗な風景。 もうここでお弁当食べて、お昼寝したい。 そんな腑抜けた気分になったが、そんなことではいけないと再び気を引き締める。 猫の手でも高千穂牛のしっぽでも借りたいほど忙しい5月の茶園に 取材に行くという暴挙に出ているのである。 真面目な顔をしていかないと、急須などの鈍器で殴られるかもしれない。 こここ、こんにちは!

ご主人の雅也さん「こんにちは~。」 あっ、やさしい~。 やさしい笑顔~。 よかった。殴られることはなさそうである。 心置きなくお茶ができるまでを取材させてもらうことにする。 まず、スタッフの目に留まったのは何といってもこの機械。

KAWASAKI製・乗用摘採機「KJ3」! 茶袋交換型・フレーム巾可変・ゴムクローラー型! 低床設計で運転席が低い安心作業タイプ! 水冷3気筒ディーゼルエンジン採用でパワフル&スムースな走行を実現! 傾斜センサー+マイコン制御駐車ブレーキ装備による万全の安全対策! 茶刈高さはデジタル表示で簡単調整! (カワサキ機工株式会社ホームページより!) かっこいい!

うしろはこんな感じ。 かっこいい! ガンダムじゃん!茶園のガンダムじゃん!

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